松下生活研究所

自然と調和した心地よい暮らしを

自然と調和した心地よい暮らしを

ARCHITECTUREコミュニティ建築

みんなで食卓を囲む様子

松下生活研究所では、人と人、人と自然の有機的な関係を築く、自然素材の集合住宅である「コミュニティー建築」を手がけています。エコビレッジとは、環境負荷の少ない暮らしにこだわった人々が集まったコミュニティのことを言い、当時、農的な暮らしをデザインする「パーマカルチャー」九州の代表として米作りなどを実践していたことからこの取り組みがスタートしました。建築に当たっては、オーナー様との打ち合わせの中で弊社よりご提案させていただくこともあれば、コミュニティー建築を希望する一般のお客様同士が集まり、一緒に企画立案をして建築するケースがあります。小さなコミュニティーで暮らしをお互いに支え合える温かい暮らしがあります。

COMMUNITY LIFEつながりのある暮らし

コミュニティが生まれる施設の間取り図

私たちの暮らしは、気がつかないうちに「おカネ」で「モノ」や「コト」を考えてしまいます。果たして「安心した暮らしをつくる」とは何でしょうか。例えば、山の中の暮らしには、野菜に山菜、シカ、ウナギ、薪などあらゆるものがつながりの中にあり、それが集落の中で行き来する「おすそ分けの経済」があります。そこに、自然と人、人と人、お金より命の社会というつながりのある暮らしが見て取れます。

私たちはこうした背景から、コミュニティの中で不足分を互いにカバーし合える関係性を築きける暮らしのあり方が大切だと考えています。また、暮らしに必要なエネルギーを自然から取り込み、利活用する環境共生型の取り組みも非常に重要です。ご近所さんや小動物、太陽の光、畳の匂い。心がつながる温かい暮らしこそ、コミュニティー建築の魅力です。

つながりのある暮らしの図

~風土と人のかかわり~

自然と人との関係

絶え間なく続く、人と自然の厳しい関係。幾度となく訪れる震災に対する日本人の忍耐力、包容力。自然と折り合いをつける人々。エコでは括れない自然・環境、循環の考え方、捉え方。

人と人とのつながり

災害コミュニティで起きた現象。人と人とが助け合う、相互扶助の精神性。つながり、生きることの意味。行政システムではなく地縁システム。

お金より命の社会

お金があってもどうにもならない。助け合いながら生きていく命の社会。どんな社会(世界)で生きてゆくのか、都市と町(農山村)はどのような関係をつくるのか。残してゆくのか。

〜コミュニティの絆〜

執筆:エコ・コミューン山ノ神 住人代表 清水 菜保子

助け合う相互扶助の精神

普段から子ども同士が一緒に遊び、たくさん頂いたお野菜や果物をおすそ分けし、草取りや飲み会などの交流を通じ、大家族のような安心感のある暮らしを送っていました。熊本地震の発生直後からは、安否確認をしたり、一人暮らしの方は他のお宅に肩を寄せて、夜を明かしました。何かあれば「助けて!」といえる人がそばにいることの安心感をこれほど感謝したことはありませんでした。そして、夜中に襲った本震では電気も切れ、ライフラインが全て断たれただけではなく、余震も頻発し次に何が起こるかわからない状態に皆、不安でたまりませんでした。しかし、馴染みの顔に会えて、心の内を話すだけで気持ちが落ち着くようでした。

外とのつながりの多い住人のつながりで沢山の支援物資が届き、ここを拠点としてご近所に支援物資が届けられました。市場に出せなくなったイチゴや、ある企業にまとめて届いたブルーシート、水、食料などでした。また、以前ここの住人だった家族が道路も安全かわからない中、一時間かけて手作りのパンや、お水を大量に持ってきてくれて、その優しさに感動しました。

コミュニティ建築の防災機能

 普段は意識しなかったのですが、今回気付いたことも多かったです。庭の畑はサボっていたのでキャベツが一個だけでしたが、何か野菜を作っておけば、災害時の生鮮品の少ない時期を乗り切れると思いました。また、水も雨水タンクを設置しておけばトイレなどに利用できますし、各家庭のエネルギーについても自立式のシステムの必要性を感じました。

震災後しばらくはごみ収集がストップするので、生ごみを段ボールコンポストや畑で堆肥化すれば困りません。トイレも庭に簡易式に作ることも可能ですので、土があることは安心感でした。駐車場が広く、他の家とのスペースがあったことも良かった点です。子どもたちの学校も被災して一か月間休校となり、ストレスのたまった子供たちが、親の目の届く範囲で自由に遊べる環境は地震のトラウマケアにも役立ったと思います。

これらを各家庭で行うのではなく、ご近所さんと、住人同士で話し合ったり、交流をしながら、お互い助け合える人間関係があったことが非常に重要でした。非日常が続くことは大人にとっても子供にとっても大きなストレスですが、人と人との温かな普段通りのやり取りが、心を満たし、日常へ戻る原動力になりました。

PROJECTS実績紹介