松下生活研究所

自然素材の力を最大限活かす安心で美しい家づくり

自然素材の力を最大限活かす
安心で美しい家づくり

ARCHITECTURE渡り腮構法+落とし込み板壁の家

大きな樹の梁

自然素材の力を最大限発揮活かす、安心の家づくり

松下生活研究所の渡り腮構法と落とし込み板壁を活かした家づくりは、丹後明恭・山辺豊彦の「渡り腮構法の住宅のつくり方」を参考に計画しました。これは、木造住宅を構造システムという考え方で構築されており、構造力学的に明確に表現しています。

これらは、従来の伝統的構法という概念的な括りではなく、渡り腮構法の架構の構造的な特徴を見出し、木の特性に応じた構造システムを作り上げています。さらに落とし込み板壁とセットになることで、より有機的な木構造となり、通常の約3倍の木材を使用し木の豊かな香りと呼吸する素材が暮らしを心地よくしてくれます。私たちは、この考え抜かれた構法を採用し、皆さまが安心して毎日を過ごせる木構造の自然素材の家をご提供します。

渡り腮構法の特徴

木造の耐震性を考えると、床面の水平剛性が低いことから、壁倍率の低い壁を分散配置し、各耐力要素の負担する力を小さくし、接合耐力を低く抑えます。架構計画から細部詳細まで、各部材の構造上の役割と各部位の仕様による性能を、実験や構造解析で根拠をしめし、建物全体を構成します。そこで建物のモデル化を図り、壁の豪勢に頼らない安全性を簡易な計算によって構造安全性を確保する構造システムを持った計画にしています。本モデルは桁と梁の接合部に使用した渡り腮架構と、梁を優先的に通して、通し柱を使用しない軸組です。柱と柱の間に落とし込み板30ミリを使用した靭性の大きな建物でエネルギー吸収能力のある構造となっています。

一般的な構造

筋交いによる剛性構造筋交い及び金物で仕口を固定して破壊を防ぐ。水平力に対して初期耐力が強い。

筋互いプレートの図

特徴 1

落し壁による靭性構造落とし込み板壁は、水平力を加えると板壁にズレ摩擦が発生する。摩擦抵抗により最終変形まで、大きな破壊もなくまた安定した復元力を示す。

水平力に強い連続梁の構造図

渡り腮構法の
構造システム図

  • 構造システム図1

    1、基礎の上に土台を敷き込み、
    アンカーボルトでとめる。

  • 構造システム図2

    2、土台の上に1階の柱を長ホゾで立て、
    込栓を打ち込む。

  • 構造システム図3

    3、柱と柱の間に落とし込み板30mmを
    はめ込み、下梁、上梁を架ける。

  • 構造システム図4

    4、上梁の上に2階床の根太を置く。

  • 構造システム図5

    5、2階の柱と柱の間に落とし込み板30mmを
    はめ込む。梁と柱は込栓止め。

  • 構造システム図6

    6、上梁を渡り腮で架け同じせいで通す。
    継手は曲げ応力の小さい箇所に設ける。

特徴 2

渡り腮架構の特徴

  • 1、柱に曲げ応力が働かない。
    (外周柱に風荷重が作用する場合には曲げが働く)
  • 2、梁の接合部耐力が大きい。
  • 3、梁は常に連続梁になる。
  • 4、各水平面構面の水平剛性が低い。

特徴 3

接合部分

木構造の最大の特徴は、接合部の耐力で構造システムが決まることです。剛性の低い渡り腮構法の落とし込み板壁ですので、耐力壁の量が多く、水平構面の剛性を高める必要がありません。そのため、軸組の仕口耐力が低くて済み、込栓の使用が可能となります。

北原昭男氏の写真

北原 昭男

熊本県立大学 環境共生学部教授

本構法で用いられている渡り顎は、古くから京町家などの伝統構法建物に多く用いられてきた構法で、階高を抑えつつ安定した床面を構成することができます。構造実験の結果では大きな変形能力が確認され、地震に対してしなやかに揺れる伝統構法建物に適した性能を有していることが明らかになっています。

一方、壁構面に採用されている落し込み板壁は、多くの木材を使用することができ、木材の持つ断熱性や遮音性を生かすことができる構法です。これに関しても構造実験を行いましたが、在来構法に比べて初期の剛性は小さいものの、大変形になるほど剛性・耐力が増大する傾向を持っていることが明らかになりました。これらは地震時の安全性を確保する上で非常に効果的な床・壁であると評価しています。

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