甲佐町 旧西村邸利活用基本計画

事業概要

熊本地震で被災した旧西村民俗資料館の利活用の基本計画を行いました。7月より10回開催したワークショップでは、延べ200人の参加があり、甲佐町の町民のみならず、甲佐高校生、甲佐に移住した方、甲佐町以外の方など多様な視点で活発な意見交換が行われました。まず、旧西村邸の建物診断から始まり、甲佐町の魅力を甲佐内外の人たちで見つめなおす「甲佐町あるもの発見講座」、参加者が輪となりオープンに意見を述べ合う「OST100人ワークショップ」、商店街のにぎわい創出や移住定住をテーマに話し合う「検討ミーティング」など、幅広いテーマでワークショップを開催いたしました。

 

 

 

 

このワークショップを経て基本コンセプトを見いだす為にコンセプトフレーム、開発テーマとその手法を探り成果目標を決定しました。その成果を実現するためのプログラムやトータルコンセプトを定め、施設活用策、その特徴を検討しました。また、この施設を運営する段階的組織形態の検討から地域との関わりを関係人口論から見いだし、中間支援組織の組織体がどのようにプログラム参加者を巻き込んで行くか、関係性の震度や機能の役割を検討したところです。

 

 

 

 

 

被災した旧西村民俗資料館の改修の問題点と地域の交流拠点となるにはどのような方法がベストなのか、改修工事と予算から見いだしたスケジューリングを広報という側面から検討しました。その検討を踏まえ、施設の利用者数と収支計画、費用対効果に係る町づくり人口や関係人口を見込んで成果指標による経済波及効果を検討しました。

屋久島町木造庁舎構想策定業務

事業概要

屋久島町に関わり10年が経過しました。当初は、世界自然遺産の屋久島がどのような状況なのか、自主調査・研究から入りましたが、製材所や森林組合などの聞き取りによると、多くの木材は島外から購入し、工務店はプレカット建築に移行した結果、5カ所あった製材所は2カ所に減り、森林組合も製材所も力なく衰退の一途でした。林業に未来を感じない様子が伺えました。

 

 

 

 

 

その後、森林林業の振興に係る事業を屋久島町から依頼され、地元の大工工務店や製材所などと杉の特性や森林林業を活かす加工体制や流通体制を検討している最中、2013年に新庁舎建設を木造でつくるという決定が下され、「地杉の全面的活用」「地元職人で行う」「庁舎建設を契機とした地域づくり」の路線で庁舎建設が始まりました。

 

 

 

 

 

 

杉は抗菌、抗カビ、鎮静作用、塵ダニの繁殖を抑制する作用がありますが、屋久島の杉は九州や本州の杉より10倍から20倍もあり、甘く重厚な感じがします。また、黒ジンが多く強度もあることが分かってきました。何度も足蹴に通う中、地杉で作られた宿に泊まるうちに割れが非常に少なく、香りが良いのに気が付きました。そして、島の人たちの杉への思い、自然と関わる人の技術、伐採や島の大工たちの腕、癖のある地杉を製材する技術は、屋久島ならではのものです。この特性をどう生かすかが大きな課題です。

 

 

 

 

 

当研究所は、庁舎基本構想の策定を行い、住民や関係機関への聞き取りやWSを行いました。また、プロポーザルの選定委員長も担い、現在は庁舎アドバイザーや屋久島の産業構造の改善による地域循環型の島づくりを町ぐるみで目指しているところです。途中、反対運動もありましたが、アルセッド建築研究所(設計監理)と共に、住民への期待に応えるよう努力しています。

 

 

 

 

河浦町づくり 100 人 OST-WS

事業概要

私達は、地域づくり計画の策定にあたり、いかにそこで暮らす人、働く人、学ぶ人、関心を持つよそ者も含めた多様な声を反映することが大切だと考えています。そこで、私達はオープン・スペース・テクノロジー(以後、OST)という参加者が議論したい課題を自ら提案し、自主的に話し合いを行うことで当事者意識を最大限に引き出すワークショップ手法を取り入れています。新製品の開発や、疲弊した組織の再生など、多様な人々からなるグループが複雑で対立を生じやすい課題に取り組む場合に効果的と言われ、世界123か国で使われています。高校生でも、主婦でも、特に専門知識のない一般住民が、まちづくりを自分事として真剣に向き合い、公平で安心できる場で意見を交わしていくことは、時間も手間もかかります。しかし、こうした生の声はそこの地域に根差した課題であり、解決策の糸口となってまちづくり計画書の根幹をなしていきます。私たちは皆様の声を拾い、整理し、集約して、深めていくお手伝いをさせていただきます。

 

 

 

 

天草市河浦地域まちづくり計画書策定業務では、地元の住民の声だけではなく、よそ者の支店を反映したいと、河浦まちづくり協議会よりサポート依頼を受け、住民ワークショップを開催。若い人は高校生から、先生、主婦、シニア層など多様な方々が延べ200人以上が参加し、住民の声を主体とした計画書を策定しました。平成27年より4か年計画がスタート。重要5策のテーマに沿って、住民のワークショップ、薬草講演会、歴史文化のマップ作り、ジビエ料理体験会、しめ縄づくりの会、狩猟女子講演会など自発的に実績を重ねています。住民の方々が自ら考え、企画、運営を小さな取り組みから始めることが、自律したまちづくりへとつながっていく大きなポイントです。私たちは伴走型で、共に悩み、意見を交わし、体験していくことで、長いまちづくりのプロセスをサポートをしていきます。

 

 

諸塚村地域づくりプロジェクト

事業概要

22年前の40歳の時、宮崎県の北部に位置する諸塚村から「村から人が流出し山が荒れ始めた。どうしたらいいか」との相談をうけました。私は、林業では食えないので山が荒れ、他の産業もなく、生活もできない。山を離れ近隣市町村へ移り住むしかなく、村から人が減り、ますます山は荒れる。それには、森林を保全することだけでなく、村を維持するために地域資源を活かした新たな木材販売を考えなければならないと思いました。

 

 

 

 

諸塚村は生産基盤と流通・加工体制整備を展開していましたが、村の活性化に繋がらないという事態に逢着していました。こうした最中に提案したのが諸塚村産直住宅です。木材流通価格は市場で決定され、生産者側では価格をコントロールできず、購入者側に価格決定権があります。市場に左右されることのなく山側に価格決定権のある販売方式の産地直送システムが必要と提案しました。しかし、産直住宅による木材販売の売上高や販売数量を求めても全体からみると大きな成果にはなりません。むしろ、村が自信を回復して元気になることが大切であると考え、適正製材量を設定しつつ、価値観(産直住宅の展理念や原則、山の暮らしや森林文化、歴史、森林保全など)を一般消費者へ訴え、林地で寝かせて乾燥する葉枯らし木材を提供することにしました。これに建築家、工務店が賛同してくれました。 関係者や林家は、林業とは、木材生産高を上げることだけでなく、木材を施主へ提供することで生きがいを感じ、建て主と共に喜びを分かち合う「木と家づくりの暮らし方」があることや木材品質の重要性を知りました。建て主は山に向い、山を見て村の取り組みや森林文化や暮らしに出会い、建築家や工務店は、山の暮らしと関わることで、家づくりとは、山の風景や森林文化に関わる山づくりにもなることを知ったわけです。

 

 

 

このような産地直送住宅事業のプロデュース・推進以外にも櫟の森づくり事業など数多く地域資源の掘り起こしに取り組んできました。私は、村に通いながら、お金では測れない仕事の価値観や自然と関わる暮らしを学びました。印象に残っているのが、幸せそうに日常を送る村民の姿です。周囲の環境を無理に変えようとはせず、協力と協調の姿勢を大切にあるがままの生活を受け入れる。物質的豊かさはなくとも、自由に生きる術を見に付けているように感じました。

 

 

 

このような産地直送住宅事業のプロデュース・推進以外にも櫟の森づくり事業など数多く地域資源の掘り起こしに取り組んできました。私は、村に通いながら、お金では測れない仕事の価値観や自然と関わる暮らしを学びました。印象に残っているのが、幸せそうに日常を送る村民の姿です。周囲の環境を無理に変えようとはせず、協力と協調の姿勢を大切にあるがままの生活を受け入れる。物質的豊かさはなくとも、自由に生きる術を見に付けているように感じました。