2017.12.10 (日)
諸塚村地域づくりプロジェクト
事業概要
22年前の40歳の時、宮崎県の北部に位置する諸塚村から「村から人が流出し山が荒れ始めた。どうしたらいいか」との相談をうけました。私は、林業では食えないので山が荒れ、他の産業もなく、生活もできない。山を離れ近隣市町村へ移り住むしかなく、村から人が減り、ますます山は荒れる。それには、森林を保全することだけでなく、村を維持するために地域資源を活かした新たな木材販売を考えなければならないと思いました。
諸塚村は生産基盤と流通・加工体制整備を展開していましたが、村の活性化に繋がらないという事態に逢着していました。こうした最中に提案したのが諸塚村産直住宅です。木材流通価格は市場で決定され、生産者側では価格をコントロールできず、購入者側に価格決定権があります。市場に左右されることのなく山側に価格決定権のある販売方式の産地直送システムが必要と提案しました。しかし、産直住宅による木材販売の売上高や販売数量を求めても全体からみると大きな成果にはなりません。むしろ、村が自信を回復して元気になることが大切であると考え、適正製材量を設定しつつ、価値観(産直住宅の展理念や原則、山の暮らしや森林文化、歴史、森林保全など)を一般消費者へ訴え、林地で寝かせて乾燥する葉枯らし木材を提供することにしました。これに建築家、工務店が賛同してくれました。 関係者や林家は、林業とは、木材生産高を上げることだけでなく、木材を施主へ提供することで生きがいを感じ、建て主と共に喜びを分かち合う「木と家づくりの暮らし方」があることや木材品質の重要性を知りました。建て主は山に向い、山を見て村の取り組みや森林文化や暮らしに出会い、建築家や工務店は、山の暮らしと関わることで、家づくりとは、山の風景や森林文化に関わる山づくりにもなることを知ったわけです。
このような産地直送住宅事業のプロデュース・推進以外にも櫟の森づくり事業など数多く地域資源の掘り起こしに取り組んできました。私は、村に通いながら、お金では測れない仕事の価値観や自然と関わる暮らしを学びました。印象に残っているのが、幸せそうに日常を送る村民の姿です。周囲の環境を無理に変えようとはせず、協力と協調の姿勢を大切にあるがままの生活を受け入れる。物質的豊かさはなくとも、自由に生きる術を見に付けているように感じました。
このような産地直送住宅事業のプロデュース・推進以外にも櫟の森づくり事業など数多く地域資源の掘り起こしに取り組んできました。私は、村に通いながら、お金では測れない仕事の価値観や自然と関わる暮らしを学びました。印象に残っているのが、幸せそうに日常を送る村民の姿です。周囲の環境を無理に変えようとはせず、協力と協調の姿勢を大切にあるがままの生活を受け入れる。物質的豊かさはなくとも、自由に生きる術を見に付けているように感じました。