松下生活研究所

2017.12.19 (火)

屋久島町木造庁舎構想策定業務

事業概要

屋久島町に関わり10年が経過しました。当初は、世界自然遺産の屋久島がどのような状況なのか、自主調査・研究から入りましたが、製材所や森林組合などの聞き取りによると、多くの木材は島外から購入し、工務店はプレカット建築に移行した結果、5カ所あった製材所は2カ所に減り、森林組合も製材所も力なく衰退の一途でした。林業に未来を感じない様子が伺えました。

 

 

 

 

 

その後、森林林業の振興に係る事業を屋久島町から依頼され、地元の大工工務店や製材所などと杉の特性や森林林業を活かす加工体制や流通体制を検討している最中、2013年に新庁舎建設を木造でつくるという決定が下され、「地杉の全面的活用」「地元職人で行う」「庁舎建設を契機とした地域づくり」の路線で庁舎建設が始まりました。

 

 

 

 

 

 

杉は抗菌、抗カビ、鎮静作用、塵ダニの繁殖を抑制する作用がありますが、屋久島の杉は九州や本州の杉より10倍から20倍もあり、甘く重厚な感じがします。また、黒ジンが多く強度もあることが分かってきました。何度も足蹴に通う中、地杉で作られた宿に泊まるうちに割れが非常に少なく、香りが良いのに気が付きました。そして、島の人たちの杉への思い、自然と関わる人の技術、伐採や島の大工たちの腕、癖のある地杉を製材する技術は、屋久島ならではのものです。この特性をどう生かすかが大きな課題です。

 

 

 

 

 

当研究所は、庁舎基本構想の策定を行い、住民や関係機関への聞き取りやWSを行いました。また、プロポーザルの選定委員長も担い、現在は庁舎アドバイザーや屋久島の産業構造の改善による地域循環型の島づくりを町ぐるみで目指しているところです。途中、反対運動もありましたが、アルセッド建築研究所(設計監理)と共に、住民への期待に応えるよう努力しています。

 

 

 

 

PROJECTSその他の実績紹介